個人民事再生のよくある質問

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個人再生手続きとは、何ですか?

個人再生手続きとは、民事再生法の小規模個人債務者向けの特則として定められたものです。民事再生法は、経済的苦境に陥った債務者が返済計画にしたがって、将来得られる収入を債務返済に充てること。返済不可能な債務を免除してもらうことにより、債務者の経済的破綻を回避し、自助努力で再生する手続きを定めたものです。この手続きを個人債務者にも利用しやすく簡素化した手続きが、個人(債務者)再生手続きというわけです。

個人再生手続きと自己破産との違いは?

破産手続きは破産宣告を受けた時点での債務者の資産をすべて換価。債権者に按分配当するという「清算型手続き」を行うことになります。これに対し、個人再生手続きを含む民事再生手続きでは、個人の将来収入や企業の事業継続で見込まれる収益などを加味し、債権者への返済に充てる「再建型手続き」となるのです。

  個人再生手続き 破産・免責
対象 住宅ローン等を除く借金総額が5,000万円以下で、
将来継続的に収入が見込める人
すべての人
子納金 15万円程度 同時廃止の場合:3~5万円
管財事件の場合:数十万円
資格喪失等 なし あり
資産の換価 必要なし 管財手続きの場合:あり
同時廃止の場合:なし
(そもそも換価すべき財産がない)


個人再生手続きと任意整理との違いは?

以下のような違いがあります。※司法書士の場合

  任意整理 個人再生手続き
概要 債権者・債務者(代理人として認定司法書士)間での相対交渉 強制的かつ定型的な借金整理手続き
関与者 債務者(代理人としての弁護士又 
は認定司法書士)、債権者
債務者(代理人としての弁護士又は認定司法書士)、債権者、裁判所
債権者の協力 必要 同意が必要
(小規模個人再生の場合のみ)
コスト 司法書士費用のみ 司法書士費用+裁判所への予納金


個人再生手続きを利用することで、何か社会的な不利益はありますか?

破産した場合のような資格制限はありません。また、官報に手続き開始決定の公告がなされ、氏名や住所が掲載されますが、一般の人がこれを見ることはほとんどありません。ただし、信用情報に載りますので、一般的には5年から7年ほど、クレジットカードや消費者金融などを利用することができなくなる可能性が高くなります。

個人再生手続きはどのような人が利用できますか?

小規模個人再生手続きは比較的小規模の債務について、将来の収入をその返済原資に充てる手続きのことです。
つまり、以下のような申立要件を満たす方であれば、手続きを利用することは可能です。
● 将来において継続的に、または反復して収入を得る見込みがあり、再生債権の総額が500万円を超えない場合(民事再生法221条1項)。
● 会社員のように収入の変動が小さい方は「給与所得者など再生手続き」が利用できます(民事再生法239条1項)。

個人再生手続きを利用できない場合はありますか?

「再生手続き開始要件」と「再生計画認可要件」をそれぞれクリアにしなければ、利用することはできません。
● 再生手続き開始要件……将来において継続的または反復して収入を得る見込みがあること。
……住宅ローン等担保権の実行によって弁済される見込みのある債務を除く債務の総額が5000万円を超えないこと(民事再生法221条1項)。
● 再生計画認可要件……再生計画による弁済額が、破産となったときの配当金額を上回ること。(民事再生法231条)

手続きは、どのような形で進められるのですか?

個人再生手続きは、次のような手順で進められます。
① 個人再生の申立
② 裁判所の再生手続き開始決定(→開始決定の公告)
③ 債権額の確定手続き
④ 再生計画の作成・裁判所への提出
⑤ 書面決議(小規模個人再生の場合のみ)、債権者からのヒアリング(給与所得者等再生の場合)
⑥ 再生計画案の認可

個人再生申立時にどのような書類を提出するのですか

個人再生申立の手続きには、以下の書類などを用意していただきます。(事案により、増減することがあります。)

主要財産一覧表の提出が求められていますが、主要財産はいずれ処分せざるを得ないのでしょうか?

財産を処分させられることはありません。主要財産一覧表は仮に破産手続きを取った場合、どれだけ配当が可能かを計算するために使うものです。再生計画の認可要件として、再生計画に基づく返済総額が破産となったときの配当総額を上回らなければならないため、提出するだけに過ぎません。

債権者一覧表に記載する債務の額が不明なのですが、どうしたら良いですか?

債務額が不明な場合、債権者一覧表には概算額を記載の上、将来異議を述べる可能性があることを記載してください。これにより、再生手付き開始決定後に債権調査を行い、記載額を下回ることがわかった段階で裁判所に対し、異議申し立てを述べることができます。

裁判所からの再生手続き開始決定後、日常生活に何か制限はかかりますか?

破産手続き開始(管財事件)の場合と異なり、財産管理は原則として自由に行えます(民事再生法38条)。財産処分や新たな借り入れを行う際には、裁判所の許可を得なければならないとされることがあります(同41条)が、そのようなケースは少ないようです。開始決定後でも、ほかの日常生活には何ら支障をきたしません。

再生手続き開始決定によって、債権者はどのような制約を受けますか?

再生手続きが開始された場合、債権者には再生手続き以外での債務の弁済を受けることが一切禁止されます。また強制執行や仮差し押さえも行うことが禁止されます。さらに、再生手続き開始決定後はすでに効力が生じている強制執行の手続きも効力は中止となります(民事再生法39条1項)。

再生手続きでは主に何が行われるのですか?

再生手続き開始決定後は、主に債権額の確定と、再生計画の作成が行われます。

再生計画とは何のことですか?

再生計画とは、確定した債務総額のうち、再生債務者がどれだけ返済していけるか、またそのスケジュールをどうするかなどの計画を決めていくものです。

再生計画案における弁済総額はどのように決められるのですか?

小規模個人再生手続きと給与所得者等再生手続きとで異なります。

小規模個人再生手続き 給与所得者等再生手続き
・100万円以上~債権総額の10%(上限500万円)
または
・債務総額が100万円未満の場合、債務総額
または ・清算価値の多い方
・可処分所得(※)の2年分
または
・清算価値
または ・最低弁済額(左記)の多い方

※ 可処分所得とは、年収から所得税、住民税、会社保険料等の法的控除を差し引いたものから、さらに最低生活費(生活保護基準を参考にして、政令によって定められている金額)を引いた額です。この可処分所得の2年分が基準金額になります。 「可処分所得」=年収 — 所得税 — 住民税 — 社会保険料 — 最低生活費

再生計画に対して債権者の同意をとる必要がありますか?

小規模個人再生手続きの場合、再生計画に対する債権者の決議が必要になります。この場合、反対票が総債権者数の2分の1未満で、かつ総債権額の2分の1未満の場合に再生計画案が承認されたことになります。つまり、再生計画案を承認させるには、過半数の債権者+大口債権者からの同意が必要ということです。この決議と要件チェックを経て、裁判所は計画認可をします。また、給与所得者等再生手続きの場合には、こうした債権者の同意は不要。裁判所は再生計画案が最低弁済額等の要件を満たしており、かつきちんと履行される見込みがあれば計画案を認可します。

再生認可手続き終了後、再生計画が認可されれば一切の借金から解放されるのですか?

借金から解放されることはありません。再生計画に従って、原則3年間はきちんと返済をつづけなければなりません。計画終了後に、晴れて借金から解放されることになるのです。

再生計画を遂行している限り、連帯保証人や物上保証人に対する債権者からの追及はありませんか?

残念ながら、債権者からの追及はあります。連帯保証人や物上保証人は再生計画にかかわらず、再生計画を申し立てない場合の借金の保証債務を負っています。連帯保証人や物上保証人も経済的な事情を考慮して、ご相談者様と同時に、債務整理を検討した方が良いかもしれません。

再生計画認可後に計画遂行が困難になってしまいました。どうすれば良いですか?

計画遂行が困難になった場合、一定の救済措置が用意されています。
① 弁済期限の延長:やむを得ない事由(想定していた収入が病気・事故・失業などにより予想外に激減した場合など)で再生計画を遂行することが著しく困難になった場合、原則3年となっている最終弁済期限を最長2年延長するように裁判所へ申し立てることができます。
② 残債務の免責(ハードシップ条項):以下の要件をすべて満たすようなきわめて特別な場合に限り、残債務が免責されます。
・ 債務者が自分の責任ではない事由により、再生計画を遂行することが極めて困難になった場合。
・ 再生計画の最終弁済期限を延長することも、困難である場合。
・ 再生計画に定められた返済額の4分の3の弁済を終えている場合
・ 再生計画認可決定時における破産配当総額以上の弁済を終えている場合

再度、個人再生手続きを利用することはできるのでしょうか?

過去7年以内に破産免責決定を得たり、民事再生法の再生計画を履行(またはハードシップ条項により免責)したりした場合には、給与所得者等再生手続きを利用することはできません。しかし、小規模個人再生手続きは利用することができます。

住宅ローンについても減額できますか?

いいえ、できません。民事再生法の住宅資金貸付債権特別条項では、元本減額は認めていません。返済条件の緩和のみとなります。

住宅ローンの負担が重いのですが、どうすれば良いですか?

民事再生法では、住宅ローンについて特別扱いをしています。つまり、再生計画において住宅ローンの弁済方法には以下のような特別条項を定めることができ、この条項を守っている限り、住宅が競売にかけられることはありません。
① 従前の契約では住宅ローンの支払いが滞り、期限の利益が喪失する場合であっても、住宅ローンの残額を一括して支払う必要はなく、当初の約定通り支払うことができる。
② 住宅ローンの弁済期間の延長(最長10年)ができる。
③ 再生計画期間中の住宅ローンの元本支払いを先送りことができる。

再生計画において住宅ローンの特別条項を定めることができる場合の「住宅」の定義を教えてください。

再生計画において、住宅ローンの特別条項を定めることができる場合の「住宅」とは、次のような条件を満たすものです。
① 個人である再生債務者本人の所有であること。
② 再生債務者本人がその住宅を生活の本拠として使用していること。
③ 床面積の2分の1以上が居住用であること。
④ 住宅は一つに限定されていること。
⑤ 「住宅」の建設もしくは購入に必要な資金。または「住宅」の改良に必要な資金(増築等)の貸付によって生じた債権であること。
⑥ 分割払いの定めがあること。
⑦ 抵当権が「住宅」に設定されていること、かつ、その債権または保証会社の求償権を担保するために設定されていること。

住宅兼事務所としてマンションを購入の際に住宅ローンを組んだのですが、適用されますか?

床面積の2分の1以上が居住用であれば利用可能です。

住宅ローンの定義にあたって、特別条項を定めることの弊害になる場合はありますか?

はい、あります。次のような場合には、住宅ローン特別条項を定めることの弊害になります。
① 当該不動産がオーバーローンにならない場合。
※オーバーローンとは、住宅ローンの残債務の方が不動産の査定額より大きい状態のこと。
② 当該不動産の登記簿に「差押」の登記がされている場合。
③ 当該不動産の登記簿に「根抵当権」の登記がされている場合。
④ 当該不動産の登記簿に住宅ローン以外の抵当権もしくは仮登記が設定されている場合。または、事前に一般債権者に対し、印鑑証明や白紙委任状を渡していたり、仮登記承諾書を交わしている場合。
⑤ 当該不動産の登記簿に「連帯債務(夫婦/親子)」の次に連帯債務であげられている人以外の抵当権が設定されている場合。または、「同順位の別抵当」が設定されている場合。
⑥ 自宅兼自営や二世帯住宅のケースで、自身の生活のための居住部分が床面積の半分以上であると証明できない場合。
⑦ 住宅ローンの滞納期間が長い場合。 ※ 住宅ローンに対し、保証会社が代位弁済してから6ヶ月経過している場合は 特別条項を定めることができません

住宅ローンについての特別条項を利用した民事再生を申し立てようと思いますが、住宅ローン保証会社が競売手続きを開始してしまいました。止めることはできますか?

はい、できます。民事再生前に競売手続きが進行していた場合、申し立てと同時に競売手続き中止命令の申し立てを行ってください。裁判所は再生計画に認可の見込みがあれば、競売手続きの中止を命じてくれます。ただし、競売手続きが開始してからの状況によっては、できない場合もあります。

住宅ローン特別条項を定めた再生計画が認可されました。これ以降、住宅ローンの連帯保証人はローンの一括返済を求められることはありませんか?

はい、大丈夫です。住宅ローン特別条項を定めた再生計画は連帯保証人にも効力が及びます。したがって、連帯保証人は債権者からローンの一括返済を求められることはありません。

住宅ローン特別条項を定めた再生計画を遂行中ですが、再び返済が困難になりました。救済措置はありますか?

はい、あります。救済措置は主に2つあります。
① 最終弁済期限の延長/ただし、この場合、既存債務のカットは認められず、また最終弁済期限も当初契約から10年を越えてはいけません。また、最終弁済期限における債務者年齢が70歳を超えてはならないなど厳しい条件が付きます。
② 元本の一部返済猶予/ただし、猶予期間は原則3年。元本の一部猶予しか認められず、これでも厳しい場合には債権者との個別交渉によります。最悪の場合住宅が競売にかけられることも覚悟しなければなりません。

再生計画が認可されませんでした。どうなりますか?

再生計画案に法律違反があったり、要件不備があったり、無理があって履行の見込みがなかったりする場合には計画案は不認可となります。この不認可決定が確定すれば、次は破産手続きに移行することになります。

再生計画を遂行することができませんでした。どうなりますか?

再生計画が認可されたにもかかわらず、それを遂行することができなかった場合、裁判所は再生債務者の申し立て、または裁判所の判断で再生手続きの廃止を決定してしまいます。そして、再生債務者に破産原因となる事実(支払い停止)があれば、裁判所は再生債務者の申し立てを待って、破産宣告をすることになります。その後、破産者の免責申し立てを受けて、免責決定を行います。

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