
自己破産・免責の良くある質問
破産・免責手続きとは何ですか?
破産・免責手続きとは、債務者が有する資産(プラスの財産)を回収、現金化。 また、借金などの負債(マイナスの財産)なども調査し、その額に応じて債権者に按分して清算する裁判手続きのことです。自己破産後は返済義務がなくなり、収入・財産は守られます。人生を再出発したい方のために考えられた制度です。破産・免責が認められれば、裁判所が選任した破産管財人の下、公平かつ迅速な破産手続きが行われ、借金を0円にすることができます。
破産・免責と任意整理との違いは何?
破産・免責と任意整理の違いは、以下のように整理されます。
| 概要 | 関与者 | 債権者の協力 | コスト | |
| 任意整理 | 債権者・債務者(代理人として弁護士)間での相対交渉による、借金の減額・分割返済手続き | 債務者(代理人としての弁護士)、債権者 | 必要 | 弁護士費用、その他実費のみ |
|---|---|---|---|---|
| 破産・免責 | 強制的かつ定型的な借金整理手続き | 債務者、債権者、裁判所、(代理人としての弁護士) | 原則不要 | 弁護士費用+裁判所への予納金+その他実費 |
破産をすると、全ての財産を失いますか?
基本的には全て失いますが、日常生活に必要な家財道具など法律で定められた一定の財産は換価や配当の対象とはならず、手元に残ります。これを「自由財産」と言い、債務者の経済的な再起のために破産法が認めたものです。
また、破産手続き開始決定後の給料など、開始決定後に得た財産(新得財産といいます)についても、原則として処分の対象にはなりません。ただし、所有不動産については破産手続きのほか、抵当権などの担保権の実行により、処分・換価される場合があります。ローンが残っている場合やクレジットで買い物をした物品などは、債権者に返還しなくてはならなくなる場合もあります。
なお、法人の場合は破産は解散事由となり(会社法471条)、法人格自体が消滅。そのため、破産手続き後の再起を考える必要はなく、個人の場合には換価されない電話加入権などがあっても、原則的にすべて処分、換価されてしまいます。
現在、賃貸アパートに住んでいますが、 破産をすると追い出されますか?
旧破産法では、賃貸人が賃借人の破産宣告を知った場合、賃貸人は正当事由がなくとも、賃貸借契約の解約申し入れをすることができました(民法621条)。
しかし、家賃滞納がないにもかかわらず、単に破産しただけで賃貸借契約が解約されるというのは「行き過ぎだ」との批判が強まり、現在は破産法改正に伴い、民法621条は削除されました。
また、家賃の滞納がなければ、賃貸人は破産債権者には該当しないため、破産の事実は賃貸人に通知されることはありません。また破産申し立て後でも、金額や支払方法などの事情次第では、家賃を支払うことは可能。賃貸人に破産の事実を知られることなく、破産手続きを進めることができます。
破産した場合、家族や会社に知られてしまいますか?
一般に、破産した事実を、他人に知られることはありません。しかし、以下の場合には、破産の事実を知られることがあり得ます。
• 破産手続き開始の決定などについての官報公示を見た場合。
• 生命保険募集人など一定の職業につく際に、市役所が発行する身分証明書を提出した場合。
• 裁判所からの通知を受け取った場合。(申し立ての代理人弁護士がいれば、通常破産に関する通知は弁護士事務所に送られるため、直接、送達されません)
• 破産手続き後、親族などが融資を受ける際の保証人になるなど金融機関の審査を受けた場合。
• 破産申し立てをすることを知った債権者が訴訟を起こしたり、給与債権差押の手続きをとったりした場合。
• すでに給料の差し押されている場合や、破産手続きを行って給料の差押が取り消された場合
• 労働金庫など勤務先を通じ、金融機関から借り入れをしていた場合や会社や家族からの借り入れがあった場合。
• 会社や家族が借り入れ金の保証人になっていた場合。
• 資産や借金の調査にあたり、第三者にその内容を問い合わせた場合。
破産手続き自体は、秘密に進めることはできます。しかし、破産・免責手続き後の生活の再建には親族や勤務先の理解や支援が必要です。また、裁判所への書類提出についても協力を得られれば、手続きがスムーズに進むこともあります。そのため、できる限り、事情を明らかにして協力を得られる体制を作ることをオススメします。
破産を理由に、解雇されることはありますか?
法律上「破産したこと」を理由に、雇い主が従業員を解雇することはできません。ただし、勤務先からの借り入れや未払い金がありながら、破産した場合「勤務先に金銭的に損害を与えた」という理由で、解雇される可能性はあります。
破産すると、職業上の資格制限を受けるそうですが、 それは一生続きますか?
職業(資格)制限を受けるのは、主に下表の通りです。しかし、一生続くことはなく、免責確定後、破産法に定められた一定の事由を満たすまでの期間だけです。
| 公法上の資格制限 | 民法上の資格制限 | 商法上の資格制限 |
| 弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、公証人、司法書士、社会保険労務士、不動産鑑定士、人事院人事官、検察審査員、土地家屋調査士、宅地建物取引業者、公正取引委員会の委員長および委員、商品取引所会員・役員、住宅金融公庫役員、証券取引外務員、生命保健募集員および損害保険代理店、警備業者および警備員、有価証券投資顧問業者、国家公安委員会委員、質屋、風俗営業者および風俗営業所の管理者、教育委員会委員、日本中央競馬会の役員 | 後見人、成年後見監督人、保佐人、遺言執行者 | 株式会社、有限会社の取締役・監査役については退任事由、合名会社よい合資会社の社員については退社事由 |
昔、破産・免責を受けたことがあります。 また利用することはできますか?
過去に受けた免責許可確定日から7年以内(法改正前は10年)に免責許可の申し立てをすることは原則、認められておりません。ただし、この場合でも破綻に至った事情に相当の事情がある場合、裁判所の裁量によっては、例外的に再度の免責を受けることができることもあります。
破産申し立て時には、どのような書類が必要ですか?
債権者に配当できるようなめぼしい資産がありません。 このような場合には、どうなりますか?
管財手続きが、破産法が原則としている手続きです。ところが、管財手続きそのものにも金銭(これを予納金と言います。個人で50万円以上、法人で70万円以上。少額管財の場合には20万円以上)が必要です。しかし、その費用すら捻出できないときは、管財手続き自体をすることが困難なため、裁判所は破産手続き開始の決定と同時に、破産手続きを廃止する裁判をします(破産法216条)。これを「同時廃止」と言います。
破産法では、「同時廃止」は例外的な処理と想定されています。しかし、近年では多くの個人破産手続きが、この同時廃止によって処理されています。また、破産管財人による調査の結果、換価するべき資産がないと判明した場合、配当ができず、それ以上、破産手続きをすすめる必要がないため、破産手続きは終了します。これを「異時廃止」と言います。
なお、同時廃止の場合、管財人が選任されないために予納金も不要(ただし、官報公告費用は必要)。東京地方裁判所では申し立て日から3日以内に、申し立ての代理人弁護士が裁判所と面接をし、破産手続き開始の決定を出します(「即日面接」と言います)。これで、短期間で処理が進みます(「即日面接」自体は、管財手続きの場合にも行われます)。
同時廃止を受ける場合の注意点は?
破産法では、破産手続き中の債権者の個別的な強制執行を禁止しています(破産法100条)。つまり、破産管財人が選任されてから破産手続きをしているまでの期間、債権者は個別に給料や動産の差し押さえをすることはできません。破産手続き開始決定の時点で、すでに差し押さえを受けている場合は差し押さえが解除されます(破産法42条)。以前は同時廃止の場合、差し押さえ禁止の効力がなかったため、免責許可決定が確定するまで(約4か月〜半年)の間、給料などの差し押さえを受ける危険がありました。しかし、破産法が改正され、新たな差し押さえは一切できないようになったのです。
ただし、破産手続き開始決定の段階ですでに差し押さえがなされている場合、免責許可決定が確定するまで、その効力は無くなりません(破産法249条)。しかし、それも免責許可決定が確定するまでの数か月間のこと。その間だけは、給料から差し押さえ分は控除され続け、免責許可決定が確定するまで支払われなくなります。
給与など差し押さえを受ける危険のある資産・債権があります。その場合にはどうすれば良いですか?
破産・免責手続きを行った場合、給料や動産などの差し押さえも含め、特定の債権者だけが抜け駆け的に自分の債権の回収を行うことは法律で禁止されています。(ただし、抵当権などの実行など破産法が例外的に回収を認めた部分は禁止されていません)この効果は破産申し立て後に出される破産手続き開始決定の時からしか生じませんので、借金の返済が難しいと感じたときは、できるだけ早く弁護士に相談してください。一刻も早く申し立てを行い、手続きを進めることが重要になってきます。
破産手続きにかかる費用はどのくらいですか?
破産申し立てを弁護士に依頼した場合、専門家に依頼する費用と破産申し立て費用のほか、予納金などの実費がかかります。専門家への依頼費用は一般の法律事務所で、同時廃止の場合、着手金で20万円から30万円。免責許可の決定を受けた場合、成功報酬としてさらに20万円から30万円が請求されます。また、管財手続きの場合にはさらに管財人(弁護士)費用が追加されるのが一般的です。
破産申し立てにかかる費用は官報公告費、郵券類、予納金が主なものになります。同時廃止の場合は、約2万円〜5万円程度です。管財事件の場合の予納金額は、個人の場合では50万円以上。法人の場合には70万円以上が最低でも必要になり、借金額や事案の難易度、管財手続きなどの手間に応じて変動します。
なお、東京地方裁判所など一部裁判所では、予納金の額を低額におさえた少額管財という制度があります。この場合の標準的な予納金は20万円。そのほか、予納金や郵券類の金額は裁判所、債権者数、借金の額などの個別的な事情により異なる場合があるので、申し立ての前に事前に調査したほうが良いでしょう。
裁判所へはどのくらい出かける必要がありますか?
①東京地方裁判所本庁ほか、一部裁判所と②その他の裁判所とで、異なります。[①の場合]
破産の原因の有無についての裁判所の面接(破産審尋)は、弁護士や認定司法書士のみが出頭します。また、免責許否の判断についての裁判所の面接(免責審尋)は出頭が必要になります。なお、法改正により、免責不可の判断は「相当の方法」によって行うことになったため、必ずしも免責審尋を行う必要はなくなりました。ただし、東京地方裁判所では法改正後でも、免責審尋期日を行う予定で、出頭が必要です。また、管財手続きの場合は事情聴取のため、管財人事務所への出頭を要求されることがあります。
[②の場合]
裁判所に提出した申し立て書類の審査だけで、破産手続開始決定が出た場合、出頭の必要はありません。しかし、免責審尋を実施する場合、出頭が必要になります。ほかは①と同じです。
破産すると、どんな効果が発生しますか?
破産手続き開始決定により、開始決定を受けた債務者は破産者となります。破産者は財産の換価配当(清算)手続きが済むまで、財産の管理処分権を失います。さらに、一定の資格制限を受けます。これらの制限は破産手続き終了後、免責許可決定の確定まで破産法が定める一定の条件を満たす期間続きます。
また、改正された破産法では、破産者について下記のような義務や制限事項が定められています。(同時廃止の場合には開始決定と同時に手続きが終了するため、この制限はありません)
• 居住に関する制限(裁判所の許可や破産管財人の同意がないと、旅行や転居ができません)。
• 郵便物の受け取り制限(郵便物が破産管財人に転送され、内容を調査されます。) 。
• 破産に関する事情の説明義務。
• 重要財産開示義務。
• 免責についての調査への協力義務
親や友人からの借金もサラ金と同様に、破産や免責の対象にしなければならないのですか?
借金をしている親や友人についても、債権者一覧表に記載して裁判所に報告する必要があります。もしも意図的に債権者一覧表への不記載を行った場合、その債権者に対する借金が免責の対象にならないばかりか、「虚偽の債権者名簿の提出」となり、免責許可の判断に深刻な影響を及ぼすことがあります。
借り入れを受けている銀行の口座を給与振込みに 使用しているのですが、不都合はありますか?
借り入れのある金融機関に預金や出資金がある場合、その金融機関は破産申し立てをする場合であっても、一定の期間内であれば、貸付債権(=借金)と預金や出資金の払戻請求権とを相殺することができます。(ただし、これは破産手続き開始決定時における借金と預金についてだけ当てはまります。例えば、破産手続き開始決定後の借金と破産手続き開始決定前の預金払戻請求権との相殺はできません)。
この他、通常、借り入れのある金融機関で開設している預金口座は取引停止となってしまいます。預金の払い戻しを受けることができなくなることがあるため、給与の振り込みや公共料金の料金引き落としなどに使用している口座は、変更する必要があります。
友人への借金は優先的に返済したいのですが、 それは認められますか?
それは、認められません。破産手続きの趣旨の一つとして「全ての債権者に対する返済ができない状態での、一部債権者による抜け駆け的な回収や返済の禁止などの秩序維持(債権者平等の原則)」があるためです。
これに反して返済をした場合、免責許可の判断に深刻な影響を与える可能性があり、また一定の要件の下で優先的な返済が問題視され、その行為を否認(取消)される可能性があります。
破産すれば、免責になりますか?
破産手続き開始決定の主な効果は、破産者の財産管理処分権を破産管財人に移すことにあります。借金を返済すべき責任を免れるためには一定期間内に免責許可の申し立てを行う必要があり、免責手続きで免責許可決定を受けて、初めて免責が確定します。
免責はどのように受けるのですか?
裁判所は、免責許可の申立があると、破産管財人や裁判所書記官に命じたり、あるいは、自ら、免責不許可事由が無いか、あるいは、免責不許可事由はあるけれども、破産したのがやむを得ない事情によるものであったり、手続きに真摯に対応したこと等の事情(裁量免責事由といいます。)の有無を調査し、これらの事情を検討して、免責許否の裁判を行います。
免責によっても、支払い責任の免れない債務は存在しますか?
非免責債権(免責許可決定によっても、免責されない債権のこと)は、以下のようなものがあります(破産法253条)。
• 租税等の請求権。
• 破産者が悪意をもって加えた不法行為に基づく損害賠償請求権。
• 婚姻費用の分担義務、養育費等の扶養に関する請求権とそれに類似する義務であって契約に基づくもの。
• 破産者が故意または重過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権。
• 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権、預り金。
• 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権。
• 罰金等の請求権。
免責が受けられない場合はありますか?
裁判所では、以下のどの事由にも該当しない場合、免責許可の決定を下します(破産法252条)。従って、以下の事由に該当する場合は免責が受けられないことがあります。しかし、その場合であっても破産法上、裁判所は破産手続き開始の決定に至った経緯、その他一切の事情を考慮して免責を許可することができます(破産法252条2項)ので、裁判所の裁量で免責決定が行われることもあります。
• 債権者を害する目的で財産を隠したり、廉価に売却したり、資産の価値を減少させたりした場合。
• 購入直後に、チケットショップやリサイクルショップ、インターネットオークション等で換金するのを目的として、クレジットカードで回数券、パソコン等の家電製品等を、購入した場合(換金行為。
• 特定の債権者を有利に扱う目的、またはほかの債権者を害する目的で、債務者自身の義務ではない債務の返済(例えば、夫の返済の肩代わりをするなど)を行ったりした場合。
• 浪費やギャンブルなどによって過大な借金を負ったり、著しく財産を減少させた場合。
• 破産手続き開始決定の申し立てをした日の1年前の日から手続き開始決定の日までに破産手続き開始の原因があるにもかかわらず、それがないと信じさせるため、債権者を騙して借金をした場合。
• 虚偽の債権者名簿を提出した場合。
• 破産法に定められた破産者の義務に違反した場合。
• 以前に、破産手続きや民事再生手続きを行ったことがあり、下記の事情に該当し、それぞれに決められた日から7年経っていない場合。
| (1)免責許可の決定の確定を受けた場合 | →免責許可決定の確定した日 |
| (2)民事再生(給与所得者等再生)における再生計画が遂行された場合 | →再生計画認可決定の確定日 |
| (3)民事再生手続きにおけるハードシップ免責決定が確定したこと | →再生計画認可の決定の確定日 |
なお、破産者に著しい免責不許可事由があると認められる場合(例:生年月日を偽ったり、年収を虚偽申告して借り入れをしたり、換金行為を複数回繰り返したりした場合)には、少額管財手続きが利用されることがあります。 これは、裁判所の選任する破産管財人に中立的な立場から免責不許可事由の有無やその行為に至った事情、破産手続きへの取り組み状況を調査させ、金銭に換えて「情報を配当する」ことで、免責を得られるようにするものです(免責調査型の少額管財と呼ばれるものです)。
免責審尋はどのように行われますか?
免責許可の申し立てがあると、裁判所は破産者を免責するかどうかについて調査を行います。改正破産法では破産管財人に免責不許可事由の有無や、その行為に至った事情、破産手続きへの取り組み状況を調査させ、書面で報告させたり、裁判所の指定した期日(免責審尋期日といいます)に破産者を裁判所に呼び出して事情を聞くなど、裁判所が相当と認める手段で調査を行うことになっています。必ずしも出頭する必要はないのですが、東京地方裁判所をはじめ、多くの裁判所では免責審尋期日を開催していて、同時廃止の場合は破産手続き開始の決定の日から1~2か月後程度で免責審尋期日が開催されます。
免責決定を得るとどうなりますか?
免責許可決定が確定すると、破産手続き開始決定の時に負っていた借金全額の責任を免れます(配当がある場合は破産手続き開始決定時に負っていた借金のうち、配当後も残っている借金の全額)。ただし、公租公課(税金)や罰金、反則金など一部の債務については、引き続き返済義務が残ります。
免責は何回でもできますか?
過去に受けた免責許可の決定が確定した日から7年以内(法改正前は10年)に免責許可の申し立てをすることは、原則とし認められていません。ただし、この場合でも破綻に至った事情にやむを得ない事情がある場合は、裁判所の裁量によって例外的に再度の免責を受けることができることがあります。
破産・免責後に借金はできますか?
免責決定後であれば、可能です。しかし、専門家に借金整理を依頼したことや、破産手続きをとったことなどは金融機関が融資の審査などの際に用いる信用情報(いわゆるブラックリスト)に5年から7年の間記載され、融資を断られることがあります。また、破産・免責手続きを取る目的の一つとして「借金を整理して生活を再建すること」にありますから、借金に依存しない生活を送るよう、生活を改善する努力をすることが大切です。


